緊急手術
2012年03月24日
急性穿孔性虫垂炎で緊急手術④
病室での1日目、2日目は土・日ということもあり妻と娘が来てくれた。
腕には点滴、お腹からはドレーンが。
娘は、関心があるのか、怖いもの見たさなのか?「痛い?」「手術跡は?」「これ(ドレーン)は?」と聞いてくる。体を大切にしてもらう意味を含め、「痛いよ。」と答え、「ほら!こんな感じ。」とテープが貼られている手術跡とドレーンを見せると、顔しかめていた。
そして、看護師や担当医は、「ガスは出たか?」を聞いてくる。「まだ出ていない。」とだけ答える。
食事は、1日目から普通食がでる。
食欲はないので、ほとんど食べる事はできない。しかし、この食事が、夜中にナースコールをするはめに。
原因は、お腹の張りが非常に強く、“痛いわ”“苦しいわ”“の中、我慢しなければと思いながらも看護師を呼んでしまった。
看護師から、睡眠導入剤をもらうも効果はあまりなし。
翌日、担当医が来てお腹の張りを伝えると、食事は行わず、腸の動きをよくする薬を、点滴からそして飲み薬を飲むことになる。
担当医が言うには、「開腹の影響で腸が麻痺を起こしているので、食べたものが行き場を失い張りが出たのでしょう。」とのこと。
“なら!動いていることを確認してから食事を出せ~”と頭の中で叫んでいた。
その後は、ガスは出ないが、水便が出るようになり、3分・5分、そして普通食へゆっくりと進めて行きました。
入浴(シャワー)は、3日目に初めて行う。
シャワーも点滴をしているので難儀!
最初に、シャワーの時間を時間表の空いている時間帯へ自分で記入する。次に、時間の前に看護師を呼び点滴を一旦止める。そして、終われば再び看護師を読んで点滴再開。
しかし、そうスムースに進めない。まず、看護師がつかまらない。時間前に来ない。あげく、シャワーの時間が30分のところが15分になることも。
忙しいのは解るが、“どうにかしろよ”と思ってしまう。
看護師は、1日2交代。毎日担当の看護師が変わる。
引継ぎをしているのか疑う時がしばしばある。
点滴の針を交換するときも、よく分かっていない私は、点滴をしている腕に腫れと痛みがあるも、“こんなものか”と思い放っていた。明らかに腫れているが、看護師は何も言わない。
そんな時、ある看護師が腫れに気付き、「点滴の針を変えましょう。」「これ、漏れてます。」と。
“なんじゃ?そんな状態やったら、はよ換えろ”とまたまた心の叫び。
結果、腫れがひどいので、点滴の針は外側に入れることになった。
そんなこんなで、ドレーンと点滴が取れた時は、本当にホッとした。
しかし、ドレーンを抜く時は少々緊張したが、痛みもなく気付いたら終わっていた。
残るは、いつ?縫合している金属(大きなホッチキスハリのようなもの)を取るのかだ!
周りの患者さんは、「チク!チク!っとするけど、そんなに痛くなかった。」と話している。
しかし、皮膚に大き目のホッチキスの針が、刺さっているのを取るのだから、“どんなものだろう?”と一応想像はしていた。
10日の金曜日、いつものごとく突然担当医が来て、食事も順調に摂れるようになったので、13日に退院することに決まる。
縫合している金属(大きなホッチキスハリのようなもの)は、担当医が不在のため日曜に取ることに。
そして、手術跡にしこりと腫れがあったので、「これはなくなるのか?」を聞いてみると、「なくなりません。」「気になるなら、改めて手術しますよ。」だって。
加えて、「もし、炎症、痛み、開腹したところから汁が出るようなら、直ぐに近くの病院へ受診してください。」とあっさり話す。
“おい!おい!失敗か?”と思うも、“もういい!”と思い直し、何も言わなかった。
後からこのことを妻に話すと、だいぶ心配していた。
すると翌日、突然もう1人の担当医が来た。
そして、縫合している金属を取りましょう。と
“えっ!明日じゃないの?”と思うも、“ま、いっか”と思い、直しなすがままに。
他の患者さんが言っていたとおり、痛みはほとんどなかった。
同じ病室に入院している患者さんから、病院の事をいろいろ聞いた。
その人は、いろいろな病気をして、いろいろな病院へ受診し入院しているといった、病気のデパートみたいな人だ。
その人から、外出と食事のキャンセルのことを聞いたので、外出許可をもらい久しぶりに家族で食事に出掛けた。
病院内では積極的に動いていたので問題がないと思っていたが、病院の外へ出てみると周りの人の歩く速さについていけなかった。
体重は4㎏ほど減り、生活は病室と廊下だけ。いくら動いていたとはいえ、たった10日間でこれほど衰えているのかと思うと“ぞっと”した。
“退院したら少々無理をしてもいつもの生活を行い、早く体力を取り戻さないと”と思った。
ようやく、退院の日が。
とにかく、退屈な10日間だった。
良い経験ができました。
2012年03月04日
急性穿孔性虫垂炎で緊急手術③
ベットの横には、妻と娘がいる。
当たり前だが、何が行なわれたのか理解できない。そして、そのことに少し恐ろしさを感じた。
娘は、「痛い?」「どう?」など矢継ぎ早に質問してくるが、声を出す気力はなく、右手を軽く振って“無理”という答えが一杯、一杯。
口の中は渇きがひどく、唾液がネバネバして気持ちが悪い。
そして、お腹と急所に痛みと違和感が!
妻に、ガーゼと水を頼み、唇と舌を拭く。
少し落ち着くも、上半身は斜めに起こされている状態。
左腕には点滴、お腹から下は痛みと違和感で動かすことができず、動かすことができるのは右腕と首から上だけ。
妻には「もう、帰っていいよ。」と伝え、必要なものはカバンに入れてきたことを妻から聞き、妻と娘は帰っていった。
その晩は、救命救急の病室で過ごすことに。
担当の看護師がBGMを流してくれたので、気持ちは楽だった。
でも、痛みと違和感がなくならず、何度も検温と血糖値を測る。そして、点滴から薬を入れる。
渇きとネバネバは完全になくならず、一晩中拭いていた。
朝になったのか?主治医がやってきた。
状態を確認し一般病棟へ移動となる。
お腹から下を見ると、お腹と急所から管が出ている。“痛みと違和感はこのせいか”
そして、オムツをはいている。“いつの間に!”と思っているところに、主治医が「急所に入れていた管を抜く。」と言う。
“えっ”と思うもつかの間、“うっ!痛っ”
そして、余韻を感じる時間もないまま、看護師から着替えを告げられる。
「1人で着替えられますか?」と言われ、「ハイ!」と答えるも、“脚が上がらない”
左右の手でズボンをつかみ、腕の力で左足そして右足とベットから下ろす。
お腹の痛みから、一つ一つの動作に時間がかかる。
着替え終わると、看護師から「回復を早めるため、できるだけ動くように。」と告げられる。
少し余裕が持てたのか、冗談ぽく「できるだけと言われるより、動くように!と言われたほうが動けますよ。」と言うと「そんな言い方はできませんよ。」と言った後に「じゃぁ、少し歩きましょう」ということに。
性格なのか? 「できるだけ」と言われると、やっても、やらなくてもどちらでもいいと感じてしまう。
やるべきことは、強く言ってもらったほうが楽である。
少し、歩いた後に、一般病棟移動する。
言うまでもなく、ゆっくりですが歩いてです。
病室のある5階フロアーまで行くと、新しい看護師が「私が担当します。」「宜しくおねがいします。」と明るく話してきた。
“間が悪い!”歩いて来たことに加え、痛みで思うように答えられない状態なのに。
“申し訳ない”と思いながら、会釈だけの挨拶で済ませてしまった。
後日、事情を話し「すみませんでした。」と告げました。
2012年02月25日
急性穿孔性虫垂炎で緊急手術②
S会S病院の救命救急に到着。
受付を済ませ、受付の人に誘導され、大きな金属の自動扉の前に向かいました。
自動扉が開くと、江口洋介と松嶋奈々子が出てくるのでは?と思うくらいの場所でした。
3~4人の医師と看護師が待ち構え、ものものしい中1番近くのベッドへ横になるよう指示がありました。
ベッドに横になると、エコー検査と触診。並行して、最初に受診した時のCT画像で状態を確認していました。医師同士であれやこれやと話をしている中、違う医師が次々にやってきては、私へ状態を確認しました。
そんな中、左腕に痛みがあったので見てみると、看護師が点滴の針を刺していました。
“おや?”と思いながらも、なすがままにしていたのですがなかなか終わらない。
“上手くできないのかなぁ~”と思いながら、やっと終わった時に、看護師へ右手でグッドのサイン出すと、看護師が「上手くいきました。」と言いながらグッドのサインをしました。
内心“ほんまかよ”と思っていましたが・・・。
なかなか診断がでないので、“えらいことになっているのか?”と内心不安になっている所へ、1人の医師が「もう一度CTを撮りますね。」そして「より分かりやすくするために造影剤を使いますが、よろしいですか?」と言ってきました。
私が、「はい」と言うと、造影剤の副作用について説明をしてきました。
重い副作用には、意識がなくなることや呼吸が止まるといったことがあったのですが、説明していた医師は、「ここは救命救急だから、もしそうなっても直ぐに処置はできるので心配ないですよ。」とさらり。
私は“お前は心配ないけど、こっちのことも考えろよ。もうどうにでもしてくれ”と。
そして、CTを撮影する部屋にベッドのまま移動、そして「1・2・3!」の掛け声とともに撮影するベッドへ移されました。
撮影中「今から造影剤を入れますので、気分が悪くなったら直ぐに声を掛けてください。」と言われるも、特に、気分が悪くなることなくCT撮影を終え、元の場所へ。
元の場所へ戻ると、撮影したばかりのCT画像を見ながら、あれやこれやと3~4人の医師が話している。
その中、私は3月6日(月)に講師をする講演会の仕事が気になり、「もうそろそろ、帰れませんか?」と近くにいた医師に話すと、医師は「このまま帰ったら、命があぶないですよ!」との答え。
“えっ!そんなにひどいの。勘弁してくれよ”と思っていると、違う医師が「虫垂が破れ、お腹の中に膿等が出ている状態なので、今から直ぐに手術をします。」と。
“はぁ~?” “誰にも何も言えずにここまできたのに、直ぐ手術”と思いながら、そのことを医師に伝えました。
すると、「じゃ、今から奥さんを始め連絡してください。」「手術は少し遅らせて、17:00から始めます。」と。
そして、妻をはじめ複数へ連絡をしました。
妻を始め、みな驚いていました。しかし、一番驚いているのは、私なんです。
妻は、病院へ向かっている途中で「もう直ぐ病院へ着くとのこと。」
携帯電話の時間を見ると、16:00を少し過ぎていました。
ここへ着てから、1時間30分程が経っていました。
妻がつくまでの間に、簡単な手術の説明を受けました。
「本来の虫垂炎の手術ではなく、虫垂が破れている状態なので、麻酔は全身麻酔で、時間は約1時間30分ほどかかり、開腹の長さも長くなります。」とのこと。
また、手術の同意書は看護師が代筆しました。
そうこうする内に、妻と娘が到着!
別室にて、妻と娘を交えて改めて手術の説明を聞き、あっ!という間に手術へ。
下着一枚になり、手術着を着て、頭にはよく分からないキャップをかぶせられ、ベッドへ横になりながら手術室へ移動。
テレビの中と同じように、横には妻と娘がいて移動。そして、手術室の前で看護師が「付き添いの方はここまでです。」と。「じゃぁ」と妻と娘に声を掛け手術室へ。
ここでも、テレビと同じ風景。そして、BGMが流れている。
よく分からないまま、この場所にいることに、“夢を見ているのだろう”と思っていました。
そして、口元にマスクが。
麻酔医が「今は酸素を送っています。ゆっくりと呼吸をしてください。」
そして次には「今から、眠くなる薬が入ります。」「30秒ほどで眠くなりますから」と。
そんな中、“なかなか眠くならないな!このまま麻酔が効かなかったどうなるのだろう?”と考えていました。
「はたさん!はたさん!」という声が聞こえ、目が覚めました。 “痛っ!動けない”